「うちの子、もう英語ペラペラだから大丈夫ですよね?」
駐在家庭の保護者面談で、本当によくいただく言葉です。
お子さんが現地の友達と楽しそうに英語で話している姿を見れば、そう思うのは自然なことです。
でもその英語、本当にペラペラなのでしょうか?同じような表現を使い回していないでしょうか?
中身のある英語を話すことができているでしょうか。
実は、「日常会話ができる英語」と「入試で評価される英語力」は別物です。
会社都合で赴任期間が決まる駐在家庭にとって、限られた期間でどう英語力を伸ばすかは、帰国後の進路にも直結する重要なテーマです。
今回は、学年別に「英語力をどう育てるべきか」を具体的にお伝えします。
なぜ「会話ができる」だけでは安心できないのか
英語習得の研究では、英語力を大きく2つに分けて考えます。
- 生活言語能力: 友達と遊ぶ、日常会話をする、といった場面で使う英語。渡米後、比較的早く(1〜2年程度で)身につきやすい
- 学習言語能力: 授業を理解する、教科書を読む、意見を論理立てて書く、といった場面で使う英語。身につくまでに5年以上かかるとも言われている
お子さんが現地の友達と流暢に話しているのは、多くの場合「生活言語能力」です。
これは英語習得の第一歩として非常に重要ですが、帰国子女入試や、その先の学習で問われるのは「学習言語能力」の方です。
この違いを知らないまま「もう英語は大丈夫」と判断してしまうと、実際には教科の内容を英語で理解する力
(読解力・論理的な表現力)が育っていないまま学年だけが上がっていく、というケースが起こります。
駐在期間が限られている中で、この2つの力を意識的に区別して育てていくことが、英語力を本当の意味で伸ばす鍵になります。
学年別:英語力をどう育てるか
①小学校低学年(1〜2年生)
この時期の子どもは吸収力が高く、発音やリスニングは特に伸びやすい時期です。
ただし、まだ「読み書き」の土台ができていないため、焦って先取りするより基礎を丁寧に固めることが大切です。
- フォニックス(文字と音の対応)を家庭でも意識的にサポートする
- 絵本の読み聞かせを英語・日本語どちらも続け、「読むこと自体が楽しい」という感覚を育てる
- 現地校で使われる語彙(教室でのやり取り、指示語など)を、家庭でも耳にする機会を増やす
- 日本のように文法事項をきっちり教えるのではなく、例文を色々と出すことで覚えさせる
この段階での目標は「英語に対する抵抗感をなくすこと」「音と文字を結びつける力をつけること」です。
無理に難しい読解をさせる必要はありません。
②小学校中学年(3〜4年生)
生活言語はかなり定着してくる一方、学習言語の差が見え始める時期です。ここで意識すべきは「読む量」と「語彙の広がり」です。
- Reading Level(読書レベル) を定期的にチェックし、学年相当のレベルにあるかを把握する
- フィクションだけでなく、説明文・ノンフィクションも読ませる(教科学習で使う語彙・文章構造に慣れるため)
- 語彙は「知っている」から「使える」へ。新しい単語を使って一文作らせるなど、アウトプットの機会を作る
- この段階から文法も入れていく。特に、10歳前後でアメリカに来たばかりの生徒は、文法を知っておくことで上達スピードが上がります。
この時期に読書量が伸び悩むと、高学年以降の「教科書を読んで理解する力」に直結して影響が出やすくなります。
家庭での読書時間の確保を、学習計画の中に明確に組み込むことをおすすめします。
③小学校高学年(5〜6年生)
学習言語能力が本格的に問われ始める時期です。中学受験としての帰国子女入試を考えるなら、この学年での伸びが結果を大きく左右します。
- エッセイライティング(意見を構成立てて書く力)の練習を始める。多くの帰国子女入試で英語エッセイ・英語面接が課される
- 学校で扱う教科(社会・理科など)の内容を、英語でどう説明されているか意識させる。専門的な語彙への耐性をつける
- この年齢でESLにいる子どもは、日本の中学レベルの文法項目を固める。
「会話はできるが、まとまった文章を書けない・意見を論理立てて話せない」という状態のまま高学年を迎えるご家庭が少なくありません。
書くことは筋トレと同じで、毎日少しずつ練習すると徐々に上達しています。巣鴨でも短いエッセイを良く書かせていますが、
最初は書くのに時間が掛かってしまう子も徐々に書ける内容が増えていきます。
また、この年齢でも「スピーキングができなくて不安」などといった意見を伺うことがありますが、スピーキングの場合は相手が必要だったり、心理的なハードルがあったりします。そういった子こそ、「リーディング・文法でインプット→短いライティング(徐々に語数を増やしていく)」自分だけでもコソ練できるアプローチが有効です。
④中学生(帰国子女枠での高校入試を見据える場合)
- 英語エッセイのレベルが一段上がる。抽象的なテーマについて自分の意見を根拠とともに書く力が求められる
- 学校によっては英語面接・ディベート形式の試験もあるため、即興で意見を組み立てて話す練習が有効
- 現地校での成績(特に英語・社会系科目)がそのまま学習言語能力の証明になるため、日頃の成績も英語力の指標として意識する
ここで、よくある誤解をまとめてみます。
「会話ができれば英語は完成」ではない
生活言語能力と学習言語能力は別物です。友達と自然に話せていても、教科書を読んで理解する力、意見を論理立てて書く力は別に育てる必要があります。
「英語は放っておいても伸びる」ではない
現地校に通っているだけで生活言語は伸びますが、学習言語能力(読解・作文・発表)は、意識的に機会を作らないと伸び悩みやすい領域です。
「本人がネイティブみたいに話すから安心」ではない
発音やイントネーションの自然さと、学力として評価される英語力は別軸です。見た目の流暢さだけで判断しないことが大切です。
「日本語を諦めれば英語に集中できる」ではない
実は、母語(日本語)の思考力がしっかりしているほど、第二言語である英語の学習言語能力も伸びやすいことがわかっています。英語だけを伸ばそうとして日本語を手放すのは、かえって遠回りになることがあります。
まとめ
英語力は「話せるかどうか」ではなく、「学習に使える言語として育っているか」で見る必要があります。
- 低学年:音と文字の土台づくり、英語への抵抗感をなくす
- 中学年:読書量と語彙を広げ、学習言語の土台を作る
- 高学年:書く力・話す力(発表・意見表明)を本格的に鍛える
- 中学生:抽象的なテーマでの表現力、即興での応答力を磨く
駐在期間はご家庭によって異なりますが、「今の学年で、生活言語ではなく学習言語をどう伸ばすか」という
視点を持つだけで、取り組み方は大きく変わります。
「うちの子の英語は、今どの段階にあるのか」「会話はできるが、読み書きや発表力はどうなのか」は、
実際に見てみないとわからないことも多いです。気になる方は、一度お子さんの現状を見せていただければ、
その子に応じた具体的なプランをご提案いたします。










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