ポートランド・バンクーバー・シアトル(レドモンド)の学習塾、
巣鴨アドバンススクール。シアトル校の杉山です。
今日のテーマは
「会話言語力と学習言語力について」です。
結論、会話言語力と学習言語力は別物です。
表層の会話言語力にとらわれずに、しっかりと学習言語力を伸ばしていくのが
駐在生・永住生ともに大切になります。
一見、日常会話はできているが、意味の通じない生徒たち
先日、ある生徒を教えていて「おや?」と思ったことがありました。
その生徒は永住生ですが、家でも日本語を使っているため日本語・英語のバイリンガルです。
日本語での受け答えは全く問題なくできており、何も問題ありません。
ただ、先日算数(数学)の勉強をしていた際に、おかしなことに気が付きました。
それは、文章題の質問に対して1つも答えることができないということです。
導入問題は別ですが、私は基本的にすぐに答えを言わないようにしています。
特に文章題では、内容を黙読または音読をさせた上で、生徒に対して文章に書かれたことを
質問していきます。場合によっては、絵を描かせて問題を理解させています。
こうして私からの質問に答えていく過程で、勘の鋭い子は計算式を導き出すことができます。
この段階で解き方がわからない生徒に対しては、もう少しヒントを出していきます。
そして、さらに困ってしまっている生徒に対しては、更にわかりやすい手がかりを提供します。
例えば、
「りんごとみかんがあわせて20個あるね。例えば、りんごが1個だったら、みかんは何個になるかな?」
「19個です」
「りんごが2個だったら、みかんの数は?」
「18個です」
「りんごが15個だったら?」
「みかんは5個です」
「そう、つまり20個からりんごの数をひき算したら、みかんの数がわかるね。
じゃあ、りんごの数がxだったとしたら、みかんの数はいくつになるかな?」
このように具体的なことから、抽象的な質問に移行することで多くの生徒が
問題の本質をとらえることができます。
ただ、xになったとたんにわからなくなる生徒も多くいますが…。
さて、その生徒の場合ですが、最初の質問から引っかかります。
つまり、
「りんごとみかんがあわせて20個あるね。
例えば、りんごが1個だったら、みかんは何個になるかな?」
「20個ですか?」
「おしいな~。そうするとみかんとりんごを合わせて21個になってしまうね…。」
…といったことが日常茶飯事です。
その生徒は算数(数学)が苦手なのかな~と思っていたのですが、
計算問題はできるのです。ただ、文章が絡む問題になるとフリーズする確率がほぼ100%。
それで、ある時、日本語言語力・論理力のサンプル問題をやらせたところ、
残念ながらこちらもほとんど正解できませんでした。
そこで、気が付きます。
「この生徒は算数(数学)が苦手なのが原因になっているのではない。
日本語の学習理解力が低いから、文や質問の意味を理解できないのだ。」
会話ができる≠その言語を使って勉強できる
永住生もそうですが、帰国子女の場合も注意が必要です。この場合は英語ですね。
特に、小さいころに日本からアメリカに移住してきた生徒たちは、
あっという間に英語がペラペラになります。発音もアメリカ人そのものです。
特に、英語が苦手な保護者の場合、そういった生徒の様子を見て
「うちの子は英語が上達した。もう大丈夫だ。」
と思い込んでしまうかもしれません。
ただね、考えてみてください。
小学校低学年の会話なんて、そんなたいした内容を話していません。
そのレベルの内容でペラペラ喋れているように一見聞こえますが、
文法的に間違えていたり、内容が薄かったり…。
この会話言語力レベルで留まるのではなく、
折角アメリカに来たのなら、生徒たちには学習言語力まで身に付けた上で
日本に帰国して欲しいと考えています。
では、どのように学習言語力を伸ばしていくのか?
これは、生徒たちにとっては退屈な内容かもしれません。
結論、インプット、特に読書を通じてのインプットを増やしていくことで
良質なインプットの質と量を日々確保していくことです。
毎日、5分でも10分でも構いません。
読書や音読をする習慣をつけてみてください。
1年後には、大きな力になっているはずです。
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