ポートランド・バンクーバー・シアトル(レドモンド)の学習塾、巣鴨アドバンススクール。シアトル校の杉山です。
さて、最近よく耳にする「オンライン授業」。
特にコロナ禍以降、その利用は急速に広まりました。
私はこれまでに通算1,000回以上、オンラインで指導をしてきました。
その立場から、オンライン授業のメリット・デメリット、そしてどのような生徒に向いているのかについて、実体験を交えてお伝えしていきます。
本記事では前提として、オンラインの「個別」授業に焦点を当てています。
録画された映像授業などは、ある程度モチベーションの高い生徒でないと続けるのが難しいため、今回は対象外とします。
■ オンライン授業のメリット
① 場所を選ばず学べる
たとえばアメリカ在住でも、日本の先生と授業ができるのは大きなメリットです。
また、通学の必要がなくなるため、時間と交通費の節約にもなります。
② 自分のペースで授業を進められる
個別指導では、生徒の理解度に応じて進度を調整できます。
わからない部分はその場で質問しやすく、苦手分野を重点的に扱うなど、目的に応じてカスタマイズされた授業が可能です。
③ 地域に関係なく、優秀な講師から学べる
たとえば、海外に住んでいても実力ある講師から指導を受けることができるのも、オンラインの魅力です。
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オンライン授業のデメリット(実体験より)
私自身、講師としても受講者としてもオンライン授業を数多く経験してきました。
その中で感じた「課題」や「気をつけるべき点」についてご紹介します。
講師の立場から見たデメリット
① 生徒の熱量が伝わりにくい
対面では、生徒の表情や声のトーンから理解度やモチベーションを感じ取ることができます。
しかしオンラインでは、それらの微妙なサインが読み取りづらく、
「理解できていないのか」「通信の遅延か」「やる気がないのか」の判断に時間がかかることがあります。
そのため、私がオンラインで授業をする場合には、対面の時よりも細かく授業内で確認をするようにしています。
② 画面外の行動が把握しづらい
オンラインでは、画面の外でスマホを触ったり、別のことをしていても気づきにくいです。
また、算数や数学などの授業では書画カメラがないと、どこで計算ミスをしたのかが分かりません。
最近では、書画カメラを貸し出す業者もありますが、そうでない場合は各家庭で用意しておくことをおすすめします。
③ 宿題の管理には保護者の協力が不可欠
生徒が宿題をやっていない、もしくは適当に済ませている場合も、
オンラインだと気づきにくいことがあります。
また、ネット環境や使用機材によっては手元が見えにくく、ミスの把握にも時間がかかることがあります。
④ 環境づくりが学習の質を左右する
自宅で受講できるのはメリットですが、周囲に気が散るものが多いと集中力が削がれます。
特に小学生の場合は、親が授業中に干渉しすぎてペースが乱れることもありました。
このような理由から、私はオンライン授業の際は対面に比べて授業スピードが落ちると感じています。
オンライン授業を効果的に活用するための工夫
① 機材を整える
・書画カメラ(手元を映す)
・ヘッドフォンとマイク(音声の明瞭化)
これらを揃えることで、講師とのスムーズなやり取りが可能になります。
② 学習に集中できる空間を用意する
理想は、机と必要な機材以外何もない空間で受講すること。
特に、小学生を自室で一人にすると、ほとんどの場合において集中できません。
③ 宿題の管理は親も関わる(特に小学生)
オンラインでは「やっていないのにやったと言う」ことができてしまいます。
講師が注意する時間も限られているため、保護者と連携して宿題チェックを行いましょう。
④ 予習をして疑問点を明確にしておく
オンライン授業は対面よりも進度が遅くなる傾向があります。
事前に単元を確認し、疑問点をリストアップしておくと授業の効果が高まります。
小学生の場合は、親のサポートが不可欠です。
⑤ 目的を明確にして短期集中で取り組む
たとえば「志望校合格」「英検・TOEFL対策」「SATスコアアップ」など、
明確な目標がある生徒にはオンライン個別指導が非常に効果的です。
逆に、目標が曖昧な場合は、対面のように友達の存在や空気感による刺激がないため、モチベーションを保ちにくい傾向があります。
このような場合は、親がモチベーターとして関わる必要があります。
もちろん講師も最大限努力しますが、限られた時間での関わりには限界があります。
まとめ
オンライン個別授業は、適切な準備と環境が整えば、非常に有効な学習手段となります。
特に、アメリカ在住の生徒にとっては素晴らしいサービスだと思います。
ただ、対面でもそうですが、オンラインでは特に惰性で授業を受けているだけでは効果はありません。
「便利なだけのサービス」として利用するのではなく、
目的と方法を明確にし、家庭全体で協力することで最大限の効果を発揮できると言えます!
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